*Croquis de Paris No.868 ~ 現代建築の原点 Villa Savoye サヴォワ邸 ~ *
2025年11月7日10:00 AM カテゴリー:Designersdiary
パリから車で1時間弱
紅葉が残るPoissy ポワシーの街にやってきました。
☆ 落ち葉を集めるポワシーの街の清掃員さん、世界遺産に指定されているル・コルビュジエの建築、広い敷地に建つサヴォア邸 ☆
Villa Savoye(ヴィラ・サヴォワ)
フランスにやってきた頃、
個人的にいつかはこのサヴォワ邸に来てみたいと思っていながら、
すっかり忘れていたところ
先日娘と美術館も良いけど建築も見に行ってみたいねという話になって。
☆ 南西から。車が通ることのできるピロティを進むとガラス張りのロビー。
2階(仏1F)は左から息子の部屋、浴室、ゲストルーム、小さなテラスとキッチンになっています。 ☆
それなら、と
小さなバカンスのタイミングに家族3人で車で来てみました。
今年は紅葉を見に出かけるタイミングがなかったので
紅葉も味わえて嬉しかったです。
☆ 南東のガラス張りの玄関。2階(仏1F)南東にあたる右から2/3近く広く取られたリビング。
左角の南がキッチン。屋上にはこの建物の終点となる「壁にあけた窓」があります。 ☆
1929年から1931年の間にかけて
ル・コルビュジエと、その従兄弟ピエール・ジャンヌレが
ウージェニーとピエール・サヴォア夫妻から依頼を受けて建設した別荘
Villa Savoye(ヴィラ・サヴォワ)サヴォア邸
☆ エントランスホールと、奥のランドリールームからの眺め。2つの扉は使用人の寝室。
螺旋階段は使用人のためのもので、普通は見えないところに配置する使用人の階段さえも
建物の大切な要素として設計されています。☆
サヴォア邸はル・コルビュジエに建てられた1922年から1931年の間の
12件の別荘からなる「ピュリズム」と呼ばれる時代の作品のひとつ
戦時中(1939年 -1945年)に占領され荒れ果てた状態で放置されていた別荘を
高校を建築するために敷地を購入したポワシー市がその価値を認識したことから
自治体によって国に譲渡され、
1963年から1997年にかけて国が修復を行いました。
ル・コルビュジエのその他の建築物と共に
2016年、世界遺産として登録されています。
☆ 2階に上がるためのスロープ ☆
そうそう、車を近くの駐車場に停めて
サヴォア邸を探している時に見かけた高校の名前が
ル・コルビュジエ高校でした。
現在建築の原点であるサヴォア邸
100年前の建築が今ここに存在するのはこの高校のおかげですね。
☆ 86m2の広いリビング。ピンクの壁の横はテラスに出ることのできる大きな掃き出し窓。
パノラミックな窓から見える景色が季節ごとに移り変わりを見せる最高の絵画になっていますね。
ブルーの壁側がキッチンに近く、ダイニングとなっていたそうです。☆
北西の通りに面した入り口から敷地に入り、
小さな林を抜けると美しく整えられた庭と緑に囲まれた四角い白い建物。
南東にある玄関に向かうためには庭や建物の下ピロティ部分を歩きます。
1階部分の側面は緑。玄関ロビーはガラス。
広々とした緑の敷地に佇む白く四角い建物のエントランス側からの眺めは
まるで宙に浮いた箱や船のようでした。
☆ 飾り気も何もないのになぜか嬉しくなる。そんな空間です。☆
明るい玄関ホールから緩いスロープを上がって2階のリビングに入ると
パノラミックに並べられたガラス窓から外の景色が出迎えてくれました。
奥は大きな掃き出し窓で
タイル張りのテラスの庭がそのまま続いていて、
なんというのか、外ではない外の空間?
プライベートな外の空間に守られているような安心と
リビングで過ごしながら自然の空気を取り入れられて体が喜ぶのか
家族3人でなぜかウキウキしたのでした。
☆ 部屋に入る前の天窓、お客様の部屋と息子の部屋の間に設けられた浴室。息子の部屋の区切られた書斎部分 ☆
廊下には天窓から光が差し込んでいて。
お客様の部屋や、浴室、息子のための部屋全てが、
建物にぐるりと設けられたガラス窓からの自然の景色の
恩恵を受けられるようになっていました。
それはリビングと違って、部屋の中でも少し区切られていてコンパクトに。
自分に集中できる時間を感じさせる空間でした。
☆ ザヴォア夫婦の寝室、入ってすぐのところに設けられた浴槽から寝室の眺め。☆
面白かったのはご夫婦の寝室
に取り付けられた浴室^^
寝室部分とはカーテンで仕切られていたそうですが、
天窓からの光があって向こうの山のようなタイルのソファが個性的で
遊び心満載ですね。
☆ 寝室と浴室の自由な動線が目に浮かびます。光の取り込み方も最高です。 ☆
茶色のタイルのシルエットが、LC4シェーズロングと呼ばれる
コルビュジエの名作の寝椅子を思わせるラインを描いています。
☆ なんて幸せな小空間 ☆
夫婦の寝室から、タイルの庭園に抜ける間には小さな書斎が。
ここの部屋の窓は内向き。
小さな窓からは庭と向こうのリビングの様子、
さらに屋上までを眺めることができます。
子供や家族の様子を眺めながら過ごす大切なひとりの空間。
コルビュジエとジャンヌレの
建築というものへの深い意識が感じられて惚れ惚れしてしまったのでした。
☆ 100年経っているとは思えない「今」感 ☆
書斎からタイルの庭園に出たところには屋根があって、
雨が降っていても外に出てその空気を味わうことができます。
壁には室内の窓と同じ高さで景色が見れるように切り取られていて、
壁があることの安心感と、外とのつながりが
ここでも十分に図られていました。
☆ 屋上に上がった最終点にセーヌ渓谷が眺められる窓が設けられていました ☆
言い方は違ったかもしれないけれど、オーディオガイドで語られていた
「どういう感情を感じるか」
という言葉が心に響きました。
そう、まさに心がずっと動きっぱなしだったので。
広さが与える感覚、自然との関係、静と動、目線、家族、日々の過ごし方、安心感・・・
☆ 一番感動した建築でした。感謝 ☆
ル・コルビュジエが語った
「これはまさに、建築的プロムナード(散歩)である」
の言葉そのままでした。
そして100年前の建物を歩いているというのに「今」感が半端なく。
こうして書いていても体が感覚を覚えていて喜ぶのです。素晴らしい建物でした。
少しだけですが、動画も撮ってきました。
2025年秋のサヴォア邸です。
お時間のある時に
A la semaine prochaine
☆MUNEKO☆















